──
「 アノヒトハ ナイテイタヨ。」
いつまでも、ぼんやり考え事をしていると、ヒコがいきなりいった。
「 ないて? 」
「 ミンナデ アイサツシタトキ。」
「 そうか。 それは、おどろいたんだよ。」
「 オドロイテモ、ナクノカナ。」
「 そんなこともあるさ。」
ぼくはそう答えた。 ヒイラギノヒコは、おもしろそうにわらって、またふっと見えなくなった。
── 佐藤さとる 『だれも知らない小さな国』 より
こんにちは、カケスです!
放置し放題、わがまま気ままの当店にご来店いただき、まことにありがとうございます。
え〜、店内、放置でホコリだらけでして…あと少しで掃除が終わりますので…(爆)
少々お待ちいただければ、特製の杭州龍井茶でおもてなしいたします。
さてさて、ここでクイズです。 前回の更新から、どれだけの時間が経ったでしょう?(爆散)
って、どうでもいい(いいのかっ )ことはさておき、さっそく、今日のお話に入りましょう。 ( 絶対、話をそらしてる…)
まま… さてさて、少し、昔の話です。 お客さん自身の中で、思い出してみてください。
本日のお題は、こちら です。

あ、懐かしい! と 一発で思い出されたお客さん、いらっしゃいますか?
まだ、う〜ん?! と頭を抱えているお客さん、ヒントです。 代表作のタイトルを並べてみましょう。
赤んぼ大将 山へいく ジュンとひみつの友だち おばあさんの飛行機 てのひら島はどこにある わんぱく天国 カラッポのはなし
そうそう、挿絵は、村上勉のものが多かったですね。( ホームページは、こちら)

そして、佐藤さとるといえば、切っても切れないのが、
コロボックル物語
のシリーズ。
メイン・ストーリーは、5巻まで出ていますが、今日は、第一巻
『 だれも知らない小さな国 』
のお話しをしましょう。
時間は、いまから、70年ほど前にさかのぼります。
物語の主人公、「 せいたかさん 」は、当時、小学校三年生。
とりもちを取る、もちの木を探して、峠山の向こうへ、ひとりで探検に出かけた主人公は、小山の陰に隠された、小さな平地に出会います。
その平地は、三角の形をしていて、美しい泉が湧き出していました。
すっかりそこが気に入った主人公は、ひとりで何度もそこへ遊びに行くうちに、近所のおばあさんから、奇妙な話を聞くことになります。
三角平地の横の小山は、昔から、鬼門山(縁起がわるい山)と呼ばれていて、人はめったに足を踏み入れることがなかったのですが、鬼門と呼ばれていたのは、表向きの理由。 本当は、── そこに住んでいる「 こぼしさま(小法師さま) 」の地を荒らさないためだった、というのです。
その話を聞いてから、まもなく、主人公は、夏の小山の三角平地で、不思議な体験をします。
やがて、戦争の渦が、日本を巻き込んでいきます。
終戦を迎え、焼け野原の町に立った主人公は、夏の強い日差しの中、あの不思議な体験を思い起こします。
そして、晴れ上がった秋空のある日、主人公は、あの懐かしい小山の三角平地を訪れるのでした──
この『 だれも知らない小さな国 』は、佐藤さとるのデビュー作品で、昭和34年に発表された作品です。
その当時、児童文学の出版は低迷していて、同人誌での創作活動が主流でした。
佐藤さとるも、いぬい・とみこ、長崎源之助、神戸淳吉と、同人誌
『 豆の木 』
を発刊していました。 長崎源之助などは、自宅の一部を地域に開放して、私設図書館を現在でも開いていますが、その名前も 『 豆の木文庫 』 と、当時の同人誌の名前を冠しています。
(マスターの全国級
恥かき記事はこちら!
(爆散))
え〜 、話は戻りまして。
『 だれも知らない小さな国 』が発表された、昭和34年といえば、60年安保の,
まさしく前夜。 児童文学にも、反戦をはじめ、社会思想が波及していた時代です。
そんな中で発表された佐藤さとるの作品は、作者本人が明言しているように、ファンタジーそのものでした。
『 だれも知らない小さな国 』 も、戦前から続く話ですから、当然、戦争の記述もあることはあるのですが、その部分はほんのわずか。 1ページにも満たないばかりか、
「 毎日が苦しいことばかりだったが、また底ぬけに楽しかったような気もする。」(本文より)
と書く始末。 主義や思想が社会に渦巻く中、ただ、ファンタジーをひたすらに追い求める佐藤さとるの作品は、当時、各方面から、低い評価を受けたようです。
それでも、佐藤さとるは、本人の言う 「 幼年時代から抱きつづけてきた幻想の総和 」 であるコロボックル物語を書き続け、日本初の本格的なファンタジー作家、との地位を固めて、現在も 『 だれも知らない小さな国 』 は、出版され続けています。
つまるところ、この物語の魅力は、
作者自身が楽しんで、
好きなものを書いている。
というところに尽きるようです。
話を書いている自分が、おもしろいと思ったことを、読む人に、うまく伝えること。
なにやら、ブログにも、通じることのような気がします。
ブログを書いていて、詰まったとき、本当に自分は、このブログを書きたいと思っているか? 読む人のことばかりを気にしていないか? と、自問自答することがあります。
趣味の範囲なのですから、どう書くかは、最後は
自分の気持ちで決める。
それが、長続きするコツなのかな? とも思います。
さてさて、 『 だれも知らない小さな国 』 の話 ──。
あまり書くと、ネタバレになってしまうので、あまり詳しくは書けませんが、まあ、シリーズ化しているので、言ってしまっても、いいでしょう。
主人公は、コロボックルたちと、月夜の晩に、幻想的な出会いを果たします。
しかし、おりしも、時代は、高度成長期を迎えたばかり。
地域開発という名の魔の手が、コロボックルたちの住処、美しい泉をたたえた小山の三角平地に襲いかかります。
さあ、主人公とコロボックルたちは、どう立ち向かっていくのでしょう?
そうかと思うと、主人公とコロボックルたちが出会いを果たす過程で、コロボックルは、とんでもない失敗をしてしまい、思いがけないラブストーリー が生まれたりします。
(その結末は、『 だれも知らない小さな国 』ではなくて、コロボックル物語の第二巻、『 豆つぶほどの小さな犬 』 の冒頭に書かれていますが…)
とにかく、そんなハラハラするような話が、この本の中に詰め込まれています。
ぜひ、機会があったら、手に取ってみてください。
もうすぐ迎える梅雨の季節に、お勧めの一冊です!
最後に、少しだけ、おまけ情報を ──
「佐藤さとる コロボックル物語展」が、神奈川県横浜市で開催されるようです。
コロボックル物語の挿絵の原画や、物語の資料が展示されますので、横浜まで足を伸ばせる方は、覗いてみてはいかがでしょうか。
「佐藤さとる コロボックル物語展」−だれも知らない小さな国−
’07年8月4日(土)〜9月30日(日) 県立神奈川近代文学館展示館 第3展示室 開館時間:午前9時30分〜午後5時 入場料:大人400円、20歳未満及び学生200円
それでは、また、お会いしましょう!
マスター カケス
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