過ぎ行く風景
バツイチカケスのゆるゆる人生 BGMも交えて のんびりゆったり歩きます
いらっしゃいませ

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咲きに咲くらん(2)

 こんにちは、カケスです。


 このお話は、僕が10代のころに書いたもので、Ⅰ~Ⅴ、5話シリーズの2話目です。


 詳しいことは、前書きの記事があります155ので、どうぞ、まずは、こちらをご参照ください。


 


157桜の樹に寄せて


 


 前回のⅠ話目は、こちらになります155


 


157咲きに咲くらん(Ⅰ)


 


 なにしろ、はるか昔のものですので、細かいところはご容赦を ――


 









 


 



 


 


 チャイムが鳴る。



 「それじゃ、ここまで。入試がんばるように」



 物理教師のふじちゃんはチョークをビニール製のチョーク入れに詰め込むと、教室を出て行った。 とたんに、教室の中が騒がしくなる。


 教室のところどころから、「終わったぁー」と声がする。


 高校での、最後の授業が。


 


 


 みんなは名残惜しそうに物理の教科書をかばんの中にしまい始めた。 椅子と机のぶつかり合う音が教室中に響きわたる。


 僕はなんとなく席を立つ気になれなくて、物理の教科書とノートを机の上に広げたまま、黒板を見つめていた。


 授業の終わり方が、いかにもふじちゃんらしい。


 でも、少し期待はずれだった。 最後の授業は、もう少しドラマチックなものになるんじゃないか、と心の隅で考えていたせいかも知れない。 もっとも、受験間際にそんなことを考えている僕の方がおかしいんだろうけれど。



 「こら、何ぼけっと座ってる」



 誰かが、僕の肩を軽くたたく。 僕の後ろに座っていた目白だ。



 「うん、なんとなく考えてた。 ・・・・これで高校の授業は終わりなんだ、って」


 「柄にもないこと言うなよ」



 また、嫌なことを言う。



 「いいじゃないか」


 「いかん。 掛須は何も考えずにぼーっとしているものと相場が決まっているんだ」


 「どうして」


 「いいからそう思っとけ。 そういうものなんだ」


 「そうかな・・・・なんだかほんとにそんな気がしてきた」


 「そうだろう、そうだろう」



 そう言ってにやにや笑う目白の後ろから、突然かん高い大声がした。 



 「目白くーん、掛須くーん、帰るわよー!」



 飛鳥が教室のドアのところから僕たちを呼んでいる。 相変わらず恥ずかしい。



 「ちょっと待て!」



 目白は飛鳥にそう答えておいてから、席を立った。


 そのまま飛鳥の方に歩いて行って、何か立ち話をしている。 と、目白だけひとりで僕の席に戻ってきた。


 ドアのところにいた飛鳥の姿が消える。



 「どしたの」


 「俺たちは今日、Yゼミ塾の英語長文読解講座の日だろうが」


 「あ、そうだっけ。 ・・・・すっかり忘れてた!」


 「とろい奴」



 目白は制服の袖を引いて、懐古調の腕時計を見た。



 「まだ4時か。 あと1時間半ほどあるな。 図書館へ行って勉強でもするか」



 そう言って、目白は僕の目をちらりと見る。



 「いいよ。 ・・・・なんだか今日は勉強する気分じゃないんだ」



 どちらかというと、物思いにふけっていたい。



 「OK。 じゃ、部室で音楽でも聴こう」


 「それよか、久しぶりに目白のピアノが聴きたい」


 「ほう」



 目白の表情が、一瞬動いた。



 「ギャラは高いぞ」


 「いくら?」


 「焼きそばパン1個」


 「わかった」


 「契約成立だな」



 目白はそう言うとかばんを左手に持って、乱雑に並べられた机の間をぬって歩き始めた。


 もうクラスのみんなも帰ってしまって、廊下から聞こえてきていた騒がしい話し声も消えかかっている。


 僕も目白の後を追って歩き始めた。


 目白は僕がついてくるかどうかなんてまるで気にしていないように、一度も後ろを振り返ろうとしない。 いかにも、目白らしい歩き方だった。


 


 


 


 体育館の扉を開ける音が、広い館内にこだまする。


 思っていたより、体育館の中は暖かかった。 そういえば、この体育館は一日じゅう日の当たる場所に位置している。 放課後にもなれば、暖かいわけだ。


 僕と目白は、まっすぐにステージの方へと広い体育館の中を横切っていく。


 磨き込まれた体育館の床に上履きのゴムがこすれる音が、やけに耳についた。 僕は体育は苦手だったけれど、この音を聞くと不思議に心が落ち着く。 もうあとわずかで取り壊されてしまう古びた体育館の、優しい鼓動のように聞こえるせいかもしれない。


 僕たちはステージ横の階段のところまでたどり着くと、慣れた足取りで小さな階段をかけ上がった。


 薄暗いステージの上の隅に、普段はめったに使われないピアノがほこりをかぶっている。 めったに、とは言っても、それは公式の場でという意味で、ときどき目白が自習時間に無断借用していたけれども。


 目白はピアノのカバーをはずすと、ピアノのふたの上のほこりを手で払いながら僕の方を見た。



 「で、リクエストは何が所望なんだ? 掛須」


 「・・・・目白にまかせるよ。 何でもいいから」



 目白はほこりの付いた手をぱんぱん、とはたくと、僕をじっと見た。 すぐに、ふん、と鼻を鳴らすと、ピアノの前の椅子に腰掛けてピアノのふたを開ける。


 僕はそこから5、6歩あるいて、ステージの横の、一段下がったところにある待機用の場所に下りた。


 ベニヤ板を張り合わせて作った大きな風景画が、ほこりをかぶっている。 たぶん、演劇部が何年か前の文化祭の発表会の背景にでも使ったのだろう。


 僕は薄汚れた窓の前に立って、窓から外をながめる。


 すぐ後ろで目白がピアノをひき始めた。サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」。 僕がよく口ずさんでいた歌だ。 目白もなかなか気がきく。


 ここの窓から見えるのは、灰色の木々の幹と、その向こうに見えるグラウンド。


 グラウンドでは、サッカー部が大声を張り上げながらボールを追いかけている。 でも僕は、目の前のたくさんの木々に目が行った。



 「・・・・この木、何の木かな。 おんなじ木がいっぱいあるけど」



 思わず、ひとりでつぶやく。



 「ソメイヨシノだ。 大体全部桜だな、この辺りは」



 ピアノをひきながら、いきなり目白が言った。実に器用なことをする。



 「そうだったっけ」


 「おまえ、毎年見てるだろうが。 頭の回転のろいな」


 「あ、そうだった! 桜だった、桜」


 「まったく」



 目白は軽やかに指を動かしながら、ため息をつく。



 「何だって唐突にそんなこと言い出すんだよ。 不可解な奴」


 「うん」



 僕は窓の汚れを軽く指でぬぐった。 くっきりとガラスに跡が残る。



 「・・・・なんだか継美の絵を見てから、そんなことばっかり考えてるんだ。 木を見るたびに、この木は何の木かな、って」


 「継美に影響されたか。 頼むから、卒業やめたなんて言わないでくれよ」


 「そういえば、今日は継美どうしたんだろう」


 「飛鳥と一緒に帰ったんだろ」


 「ふーん」



 僕はそばにあった折りたたみ椅子を広げて、手でほこりを払って座る。 どうも受験期に入ってから体力が落ちてきたみたいで、長く立っているのがつらい。


 目白が、ひと息ついてしゃべりだす。



 「継美か。 ・・・・継美は複雑怪奇だ」


 「ん」


 「この間な、夕方に学校出ようとしたら、継美が校門の横の林の中で桜を描き続けてたんだ。 俺が近づいてって、余程桜が好きなんだな、って言ったら、継美は何て答えたと思う」


 「さあ」


 「『桜なんて大嫌い』」


 「・・・・」


 「俺には、継美が理解できんよ」



 風が出てきたらしく、窓の外の桜の木の枝が揺れ始めた。


 僕は裸の桜の木々を見まわした。 桜の大嫌いな継美。 まだ咲いていない桜を、夢中になって描き続ける継美。



 「卒業しないで、ずっと桜の絵を描き続けるのかな」


 「かもしれん」


 「卒業かあ」



 見上げた空が、桜の木の枝で細かく切り刻まれている。



 「卒業って、なんなのかな」


 「この土壇場にきて、何を言ってる」


 「よくわかんないよ。 なんとなく、終わりなんだって感じはあるんだけどさ」


 「卒業なんてのは、単なる環境の変化だ。 そんな重大な出来事じゃない」



 平然とした顔で、目白は言う。



 「・・・・クールだね、目白は」


 「当然だろ」



 一曲ひきおえた目白は、体の姿勢を直してまた別の曲をひきだした。 僕の知らない、せつないメロディ。



 「時は流れる。 過去の喜びは去り、また新しい喜びが自分を満たすだろう。 盛者必衰、万物流転。 What goes up・・・・ええと」


 「must come down.」


 「そう、それだ。分かってるじゃないか」



 目白はわざとらしくせきをする。 ピアノの音を乱して。



 「まあ、去るものは追わず、みたいなもんだ。 そういう定めでしかないのなら、それはそのまま受け入れるしかない」


 「そんなものかな」


 「俺は刹那主義だからな」



 グラウンドで練習していたサッカー部が、校庭の隅に集まる。 ミーティングを開いているらしい。 もう、練習も終わり。



 「・・・・でもさあ」



 でも。



 「わかるような気もするけど、それで目白は寂しくないの」



 デクレッシェンド。


 目白は僕の言ったことが聞こえなかったかのように、無言でピアノをひいている。



 「やっぱり、わかんないよ。 そういう考え方。 なんだか寂しいよ。 あのさ・・・・!」



 いきなり、目白がものすごい勢いで鍵盤を叩きつけた。 すさまじい不協和音。 僕は驚いて、目白の方を振り返った。


 目白は顔を伏せて、手に力を入れ続けている。


 それを見た瞬間、僕ははっとした。 伏せられた顔の表情はよく見えなかったけれど、いつもの目白じゃない。 まるで別人のような。


 体育館中にこだまする大音響が、フェイドアウトしていく。 少しづつ。


 僕が顔をこわばらせたまま見つめていると、目白がゆっくりと顔をあげて、にやりと笑った。



 「おまえね、天才ピアニストがコンサート開いてるんだぜ。 聴衆は静粛にせんか」


 僕はちょっぴりほっとした。 いつもの嫌味な目白だ。



 「・・・・ごめん」



 やけに気取った手つきで、目白はピアノのふたを閉じる。



 「今日の演奏会は幕切れだな」


 「えーっ、もうおわり?」


 「贅沢言うな。 焼きそばパン一個なら、この程度だ。 もっと聴きたければ、ギャラ追加しろ」


 「わかった。もっと出す」


 「モノによる。 何だ」


 「バイエル」



 目白は口をあんぐりと開けた。



 「・・・・とろい掛須にしては上出来の皮肉だな。 よし、敬意を表してもう一曲ひいてやろう」


 「そうそう」



 目白はピアノの前に座り直すと、ふたを開けた。


 僕はそれを見ると、また窓の外に目を向ける。 そのまま目白が美しいメロディを奏で出すのを待っていたら。


 目白が『ねこふんじゃった』を弾きだした!



 「なっ! なんて曲!」


 「ふははははははははははははは」


 「めっ、目白なんか、嫌いだぁ」


 「嫌いで大いに結構」


 「も、いいよ。・・・・行こ行こ、Yゼミ塾の英語長文読解」


 「そうか。 残念だな。 もっとピアノひきたかったんだが」


 「も、聴かない」


 「では、ちょっと早いが、行くとするかな」



 目白はピアノのふたを閉じて、カバーをかけて立ち上がる。


 僕も目白の横に行くとかばんを肩にかけて、ステージから飛び降りた。


 着地したときに、足元の木でできた床がきしむ。 もうかなり古くなっている証拠だ。


 何十年もの間、この床は生徒たちの上履きに踏まれてきたのだろう。さまざまな時代のさまざまな生徒たちに。 そして、この体育館はあと一か月もすればなくなってしまう。


 体育館の中には、セピア色の日差しが差し込んでいる。


 記憶の残像。


 


 


 体育館を出るときにふと横を見ると、茶色のバスケットボールが隅に転がっている。


 誰かが使ったあと、しまい忘れたのだろう。


 僕は思わず歩いて行って、そのボールを手に取った。 ずしりとした手ごたえ。



 「なにやってんだ、掛須。 ボール遊びでもしようってのか。 相変わらず幼稚な奴」



 体育館のドアを開けかけていた目白が大声を出す。 その声が、体育館の高い天井に反響してうなった。



 「うるさいなあ」



 僕も負けずに言い返しておいて、コートの対角線上にある、バスケットゴールをにらむ。 ここからだとかなりの距離がある。 僕は近くでシュートしても、ほとんど入ったためしはないけれど。


 ボールを頭の上に構えて、慎重に狙いを定めてボールを投げる。


 放物線を描いて飛んでいったボールは、リングに当たってぶさまにはね返った。 はじかれたボールが床に落ちて、重い音を館内に響かせる。



 「下手くそ」



 目白がやじを飛ばす。



 「ゴールが遠いせいだよ」



 僕が言い返すと、目白はせせら笑ってボールを取りに行った。



 「よろしい。 模範を見せて進ぜよう」



 目白は僕のところまで戻ってくると、シュートの構えをする。



 「無理だってば。 遠すぎるよ」


 「俺の辞書はナポレオンの辞書に準拠してる。 ・・・・もっとも、英語は例外だが」



 目白は2,3回ボールをドリブルさせると、もう一度ボールを構えた。


 そのままの姿勢で、ゴールをじっと眺める目白。


 僕も、つられてゴールを見つめた。


 目白はもったいぶって、なかなか投げようとしない。


 体育館の中は、奇妙なほど静かだ。 聞こえるのは、体育館のすぐわきにある常緑樹が風にそよぐ微かな音だけ。


 冬は、何もかもが静かに止まる。 風も、日差しも、空気も、水も、空も、桜も。 ・・・・でも、時間だけは。


 


 目白が突然モーションに入って、僕は我に返った。 体育の教科書に載っている連続写真のように、目白は滑らかにボールをスローする。


 


 目白の手を離れたボールは、ひどくゆっくりと飛んでいった。


 


 まるで、永遠にそこにとどまってしまって、時間さえも引き止めてしまうかのように。


 


 


<FIN OF PART Ⅱ : TO BE CONTINUED TO PART  Ⅲ


 


 


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